□HAPPY MERRY BIRTHDAY TO YOU□


 そして、せっかくの機会なのだから、あの金色の髪のコックには喜んでもらいたいと思う。
 他人が喜ぶとか喜ばないとか悲しむとか悲しまないとかそういうことは本当にどうでも良かった。
 というより、自分が喜ぶとか悲しむとかそういう感情をまだ持っていたというのも驚きだ。

 ロビンは一口、香り高いそのコーヒーを啜った。

 完璧なまでのそのコーヒーを見てロビンは思う。あのキラキラ輝く金色の髪の中には誰か他人を喜ばせることしか入っていないのだろう。こちらが喜ぶのを見てそれで喜ぶというサービス業適性値マックスの男だ。
 くすり、と右手を口元に当て、少し笑ってロビンは本を伏せた。
 普通に喜ばせるだけではなんだか物足りない。遊び心というべきか、なんと表現するべきか、ロビンは少しわくわくしてきた。
 今まで生きてきて、気の抜ける日はなかった。心の休まる日もなかった。
 心の支えはたった一つ。
 リオ・ポーネグリフを見つけるというただそれだけに向かって。
 それが苦しいとか辛いとかは思わない。仕方のないことだし、それだってロビンの一部にちゃんとある。
 だけれども。
 楽しいと笑えることがあることをロビンはこの船に乗ることで知った。
 踊ったり歌ったり羽目を外して遊びまわることができるということもこの船に乗ることで知ったのだ。

 だったら少し、わくわくさせてもらっても構わないだろう。
 ロビンはそう思った。
 きっとこのプレゼントなら、コックさんはしどろもどろになりながら、驚いてでも喜んでくれるに違いない。

 そのための段取りをロビンは考えた。
 とりあえず彼女に残された時間は少ない。短時間のうちに成功を収めるためには初動が肝心だ。
 コーヒーを最後まで飲むと、優雅な動作で立ち上がったロビンは、目的に向かって歩き出した。

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 サンジの誕生日まで毎日更新しますです。

2004年2月23日



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