Birthday Card 4
どうしてこの元同居人は、毎年毎年毎年毎年自分の誕生日を律儀に覚えている上に誰も彼をも巻き込んで楽しいカードをよこしてくださったりするのだろう、と悟浄は心の底から考えた。
大体似たようなことを三蔵が思っているということを知ったら泣いて己の不覚を恥じるだろうからそれは黙っておくことにして。
「悟浄、誕生日おめでとうございますv」
にっこり笑顔とハートマーク付きで渡されたカードの束を引きつる笑顔で受け取って、悟浄は半ば呆然とその束を見つめた。
どうせ今年もこれを書いたのが一体誰かと参加したくもないクイズに参加させられることだけは間違いない。
「今年は趣向を凝らしたんですよ。悟浄をレストランに皆で招待しますから」
「……」
毎年毎年毎年毎年趣向を凝らされてばかりの悟浄は更に引きつった笑顔を八戒に向けた。勿論八戒は満面の笑顔を悟浄に返す。
「それで、そのカードに書いてあることをとりあえず悟浄は実践してくださいね。毎年言葉だけで推理してもらうのって悪いなあ、って思ったんです。実際に行動してみることでそのカードを書いた人がより推理しやすくなるんじゃないかなって思いついたんです、僕。悟浄にとって随分有利な状況だと思うんですが」
……そんなことは欠片もみじんこも思いついて欲しくはなかったと悟浄は思った。
「じゃあ悟浄、とりあえず一枚ずつ中身を確認してくださいね」
そう言って八戒は更に満面の笑みを浮かべ、悟浄にカードの束を向けた。
…悟浄は観念して、まず一番上の、真っ白い紙で作られた上品そうなカードを手に取った。