信(てがみ) |
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唐突に生まれた海より偶然に生まれた我ら長き信(てがみ)書く |
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「頑丈に誰かに遭うまで壊れずに」武骨に作られる信(てがみ)託す船 |
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一生をその船のボルト一本に捧げるような人らの見る夢 |
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地球という場所ではもっとも安定な元素で鍍金されゆく信(てがみ) |
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旅人と名付けられたる鉄塊は例えばイオに海を見つける |
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1立方メートルに原子2.3個の密度の中を漂う鉄塊 |
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原子力電池は寿命とうに尽き最後のスイング・バイは天王星(ウラヌス) |
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加速せず減速もせず晴れ上がる宇宙(そら)で誰かと出遭う日を待つ |
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原子力電池もつきて金色の信(てがみ)も絶対零度で漂う |
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敬礼で見送る誰も肉眼でとらえられなくなったその船 |
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我々が絶滅の種となりし日も旅人は二人旅を続ける |
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