於斗矢さん 得るものと失うものは等しくて方程式の解は不定だ 10月26日 1か0かイエスかノーかで線引ける解見つけられず数学教える 関口さん 抱いてごらんすぐそばにある温もりが必ず君に微笑むだろう |
トントンと麺打つ師傳(しふ)の腕を振り五度目で細い拉麺となれり 10月7日 明日のこと笑顔で話せる毎日つきも星も風も味方にして 10月9日 真っ白なビールの泡を懐かしく思う盛夏の思い出のごと 10月9日 痛くても痛いと言えない痛みがわずかなやさしさをさえ酸化させ 10月12日 あおりんごあおいいろのまま売られてく夕焼け色に恋焦がれつつ 10月14日 酔うほどに香るこの花暗闇を甘く湿らす金銀の花 10月16日 僕らとかわたしたちとかいう音で暖を取る夜風が強くて 空白を求めてじっとひざ抱え今宵も耐える原子の重さに 10月17日 火のついた硫黄のようにじりじりと人の気持ちの燃えることもあり 10月18日 髪の毛の一筋さえも残らぬよう溶けてしまおう初秋の雨に 10日19日 脱ぎ方を知らぬ鎧を着たままで一見鐘情焦がれ続けてる 10月20日 月曜日のど乾かしたシナプスが頭蓋の中でカサコソ揺れる 10月21日 爆弾が欲しくなる夕思い切り派手に壊して熟睡の淵へ 10月22日 古傷をいたわる手にも牙立てる私は野良犬都会に吼えて 10月23日 ゴウゴウと冷蔵庫鳴く夜腕が肩がほの寂しくて我を抱く我 10月24日 青空が心地よく澄み焼き芋の黄色が生える空腹の秋 10月27日 唐国のカボチャはみどり西方のあかいカボチャに恋して熟れて 木枯らしの冷たい渦がきみの肩抱けないでいる僕に微笑む 10月29日 満席の羊鍋屋はにぎわってガラス窓白く曇る冬近し 10月31日 手袋が嫌いな私の右手はあなたの左のポケットが好き |
週末に行ける居酒屋生ビールジョッキで飲み干す。明日が休みなら 11月1日 にんじんのしゃきりと伸びた葉をつまむ指が覚えてるああ故郷のにおいだ 11月2日 達筆も出世の条件筆を持て習字する子ら平然という 於斗矢さん 神帰る社の庭の紅葉より濃きくれなゐを取りて口づけ 11月3日
人に言われてすぐ直すだけの計算や美術は私の中に残らず 11月4日 於斗矢さん ぎこちない笑みにさよならできたなら大人なんだと決めた十五は
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老酒の雫のごとくひとの心も酔いを増すひとと出会えば 11月1日 牛蒡という漢字はあるのに牛蒡など食さないという漢字の国では 11月2日 お習字をお絵かきのように楽しんだ私の書く字褒める人なし 11月3日 十五にして解けなかった問いの答え突然振ってくる立つべきとしに 11月4日 一人きりのオフィスに響くたくさんの声機械という生き物たちの声 11月8日 宙空を泳ぐ三日月儚さが妖しさとなり暮れいくほどに 11月10日 コートなどいらないけれど風が吹けば聞こえる枯れ葉たちの歌ごえ 11月11日 理由もなく携帯が鳴るのを待ってる秋の空気は媚薬のようで 11月12日 さようなら フラッシュバックするきみの声 着メロみたいにいつでもどこでも 11月13日 Only OneがOne of Themになった携帯の番号さえ忘れた今では 11月13日 大海のうねりのように高く低く果てなく続く好きってキモチは 11月14日 雨降りは空の雫の旅立ちの儀式なんだときみの子守唄 11月15日 きっと今星が降ってる目を閉じて耳を澄まして宇宙を感じて 11月17日 頭からまっさかさまに落ちるなら味噌汁の海カツどんのベッド 11月18日 流星は雨雲の向こうで降っていていくら待っても出会えないふたり 11月19日 母の背は追い越せても追い越せない25で母になった母を 11月20日 好きなものお預けにする老毛病例外だよね?私とのキスは 11月22日 冬空に震えるオリオン道しるべ失いし我の吐く息も凍り 11月23日 のどを焼く液体恋し月のない夜は長くて星は遠くて 11月24日 カタカタと時計の針は回る回る飽くこともなく諦めもせず 11月25日 雨上がり西日の差して窓燃えてきみの泣き顔虹にけぶりぬ ヒーターを冬の夜の友とする我ぬくもりさえあればなんてウソ 11月26日 人知れず小さなあおい炎となり冷たく熱く燃え続けたい 11月27日 水音に蘇り来る遠き日に見上げた秋空タバコのにおい 11月29日 冬至前午後5時前のたそがれに背中を押され流れる街を 11月30日 |
橙の柿くっきりと夕暮れの薄い青色切り取って落ちる 12月4日 ゆず半分みかん半分あと私風呂桶の中で今日が昨日になる 灰色の空気にひらり舞い落ちる雪画せよ我の白いセーター 12月6日 魔方陣で召還しよう真っ黒な空から落ちる一片の雪 12月7日 「確かめる」ためにハグする肌と肌触れ合った個所から流れ込む気持ち 12月8日 関口さん 海風はひたすら冷えて暖かき柔肌だけが僕の真実
吹き付ける風この黒き海の向こうため息あつめた 12月9日 関口さん 来年はすぐそこにあるやわらかくあたたかいままの君のてのひら 12月26日
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石畳落ち葉の舞いは哀しくて諦めること知ったその秋 12月6日 白銀はものごとをただ清らかに縁取る魔法我にも積もれ 12月7日 きみのほお思ったよりも冷たくてきみの体温確かめたくなり 12月8日 降る雪はすべての色を征服しでも永遠はこんな色じゃない 12月9日 60%以上は水で出来ている私の体も大海のカケラ 12月10日 境目が分からなくなり新月が闇夜に溶けても明日さえくれば 12月11日 凍りつく夜のしじまに猫の声わたしも恋がしてみたくなり 真夜中に咳をするきみ哀しくて明日の天気を気にしてる僕 12月13日 強い酒苦い流れに潤びてく記憶カサカサと泣いてみたくなり 12月16日 真夜中に爪を切る母もういいのと親をなくした少女の声で 唇を彩る紅に憧れて明日ばかりみてた16のころ 12月17日 灯りのない夜は長くて雨雲がやけにまぶしい寝返りうてば 12月21日 後悔が途切れない夜熱燗でおかしい映画みてやり過ごし 12月22日 雪粒は水の結晶霧雨は温かい雪雪よ降れ降れ 12月24日 木漏れ日と木陰のように震えあう熱くも冷たくもないでもHAPPY 12月25日 永遠という魔法解くきみの呪文さようなら青ざめる空は澄み 12月27日 |
ふぇいさん & 関口氏 & 於斗矢さん & KARI−RING | |