□HAPPY MERRY BIRTHDAY TO YOU□


「なんだナミ、お前どうしてこんなところにいるんだ?」
 少しびっくりした表情で、ウソップがひょい、と顔を出した。階段を降りてナミの隣に並ぶと、首をひねってナミを見る。
「なによ、あんたこそ何でこんなところにいるのよ」
「俺はゾロに用があるんだ」
「私だってそうよ!」
「……俺も、だぞ」

 ナミとウソップの二人が160cm以上のところで会話を交わしているところに、そのはるか下から声をかけてきたのがチョッパーだ。
 ナミとウソップは同時に顔を見合わせて、同時にチョッパーのほうへと顔を動かした。月の逆光になって二人の表情はよく見えなかったが、チョッパーは二人とも目的がゾロだと知って少し動揺した。
 一人、蚊帳の外で話の全く見えないゾロはとりあえず頭をがりがりとかいて月を見上げてみた。ナミにウソップにチョッパー……どんな用がゾロにあるというのだろう。

「どうしたんだ!3人ともそんなところで」
 みかん畑からぐいーんと伸びてきたゴムの腕がメインマストにぐるぐるとからみつき、麦藁帽子を押さえた格好のまま、突然船長が目の前に現れた3人はとりあえず一斉に彼に突っ込んだ。
「ルフィ!それ突然やられたら心臓に悪いっつってるだろ!」
「おおおお俺もまだ慣れないぞ!」
「…ていうかあんた私のみかん食べたわね……!」
 ばちばちと火花を散らすナミから目をそらしてへたくそな口笛を吹きつつルフィはすたすたと歩いて見張り台のほぼ真下に立つとゾロを見上げる。
 4人目の人物までもが自分を対象にしていると知ってゾロは今日は一体何の厄日かと思った。蠍座の男は今日はえらい目にあう日らしい。
「…あら、皆さんおそろいじゃない」
 しゃなりしゃなりと現れた5人目にとうとうゾロは頭を抱えて座り込んだ。背の高い黒い髪を持つこの船の中で一番新しいクルーが右手を顎に当てて左手で右腕の肘を掴んだ格好で立っている。
「……皆どうしてここに集まったんだ?」
 このクルーの中での唯一といっていいだろう常識人、ウソップが当然の疑問を口に出す。
「ナミとチョッパーはゾロに用があるって言ってたが…まさかルフィもロビンもか?」
「俺はゾロに頼みたいことがあるんだ」
「私もよ」
 黄色い月の光が満遍なくそれぞれのクルーに降り注いでいた。
 ゾロは見張り台でうずくまって考え込んでいた。

 何か、こいつら全員に恨まれるようなことを一体自分はしたのだろうか、と。

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 サンジの誕生日まで毎日更新しますです。

2004年2月29日



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