□HAPPY MERRY BIRTHDAY TO YOU□


「……あのバカゴムっ」
 女部屋に一人こもって航海日誌をつけているはずのナミが、ペンを持った手でオレンジ色の髪をがりがりとかき回し、眉間に皺を寄せて怒っている。
「誕生日にはサプライズパーティーが相場でしょ」
 思わず力一杯文字を書き付けてしまったために航海日誌の紙が付けペンのペン先に引っかかって破れてしまった。
 破れた部分にインクが滲んでいく。

 ナミは、ナミなりに考えがあったのだ。
 あの金色の髪を持つ、女と見れば誰にも優しいコックに、命を救われたことを忘れていたわけではない。
 ただ、面と向かってそれに対する言葉を伝えることができない自分がいることもナミはよくわかっていた。

 ナミがエネルと二人乗り込んだ船に飛び乗って、ナミの代わりにエネルの電撃をまともに食らった金色の髪のコック。
 マクシムの上昇を遅らせ、そしてナミとウソップは無事に船から降りることができたのだ。

 上手く気持ちを伝えられないからこそ、誕生日というこの絶好の機会にかこつけて、サンジに「ありがとう」と言うつもりだった。サプライズパーティーを上手く仕掛け、ものすごくさりげないシチュエーションの中、一番伝えたいこの一言だけを伝えるはずだったのに。

「計画の練り直しだわ」
 右手に持っていたペンを左手に持ち替えてナミはほお杖をついた。
 とにかく誕生日のパーティーは開かれるのだし、それがサンジによーーーく伝わってしまったのだから、何か別の方法でナミの気持ちを伝えることができないかとぐるぐるとペンを回しながら考えた。

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 サンジの誕生日まで毎日更新しますです。

2004年2月20日



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