□HAPPY MERRY BIRTHDAY TO YOU□ |
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「よしやるぞ!」 黒い髪の船長が唐突に夕食の席で声を上げた。 「…今度は何だ」 長い鼻を船長に向けて、これ幸いときのこを景気よく船長のお皿に全て譲り、ため息交じりでウソップが聞く。 「勿論、サンジのバースデーパーティーだ」 「………」 堂々と胸を張り、鼻息荒く高らかに宣言した船長にとりあえず一同は脱力した。 なんせ当のサンジもそこにいて肩をがっくり落としたくらいだから、サプライズパーティーにしようと考えていたオレンジの髪の航海士はルフィをとりあえず殴り、こっそり日ごろのお礼をしようと思っていたもこもこした船医はうなだれた後ルフィを恨めしげな目つきで見上げた。 そんな様子を見やると、不思議そうに頭を傾げてルフィは腕組みをして聞く。 「なんだよ皆、サンジの誕生日が嬉しくねぇのか?」 「……この鈍感男ッ!そー言うものはねー、当日まで本人には黙って準備する方が楽しいのッ」 「そうなのか?」 「そうなのっ」 更にナミにもう一発殴られてルフィはとりあえず床とお友達になった。たんこぶからは煙が立ち上っている。 つまらなさそうにそのやり取りを聞いていたゾロは、面倒なことになる前にその場を立ち去ろうとしたが、ほお杖をついてふっと笑ったロビンに声をかけられる。 「剣士さんもパーティーに参加するのよね」 「……うまいメシにありつけるからな」 頭をがりがりとかいてそっぽを向いたままゾロは答える。 「だったらお前ちゃんとプレゼント用意しろよ!」 いつの間にか復活を果たしたルフィにぴしりと人差し指を突きつけられて、ゾロは一瞬うろたえた。 「……プレゼント、だ?」 「あらだってコックさんは貴方の誕生日にプレゼントちゃんとあげてたじゃない。しかも貴方は私にもちゃんとプレゼントくれたしね」 にっこりと笑ってロビンはゾロを硬直させた。ついこの間のこの女の誕生日には、ゾロはウソップに便乗したという形で確かにちゃんと誕生日プレゼントと名のつくものを渡している。 「そーいうわけだ、皆、各自プレゼントをちゃんと用意しておくように!」 船長風に(というか船長なのだから当然なのだが)命令をしてルフィはサンジを振り向いてにかっと笑った。 「んでサンジはちゃーんとうまいメシを作っておくように!」 「……結局てめーの目的はそれか」 にしししと笑うルフィの肩に手をかけて、サンジは更にがっくりと肩を落とした。 →NEXT □□□□□ サンジの誕生日まで毎日更新しますです。 2004年2月19日 |